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花も地産地消が一番!~子どもたちやファミリー世代にも花を普及させていきたい~ 三鷹市大沢の花農家「海老澤一晃」さん

三鷹市大沢の農家の15代目、海老澤一晃さんに、花農家を継いだきっかけや想い、こだわり、これから取り組んでいきたいことを伺いました。

海老澤 一晃(えびさわ かずあき)さん
1982年生まれ。日本大学卒業後、27歳で家業の花農家を継ぐ。現在2人の娘がおり、祖父から娘まで4世代で畑に出ている。関東東海花の展覧会では2013年にプリムラジュリアンで農林水産大臣賞を受賞。趣味は東京を歩いて散策。

「フラフラしているなら家の仕事をやったら?」 親の一言で農家を継ぐことを決意

–– 就農までの経緯を教えてください。

海老澤一晃さん(以下海老澤さん) 花農家をしている親からは「好きな仕事に就いてもいいけど、最後には戻ってきてくれないと困る」と言われていましたので、何となく、年をとったら農業をやるのかなと思っていました。

大学卒業後は食品スーパーに就職し、葛飾区で会社勤めをしていました。そこを3年で退職し、アルバイトをしながら新しい仕事を探していたところ、「フラフラしているなら家の仕事をやったら?」と親に言われ、それをきっかけに農家になろうと決めました。それから1年間、立川の農業試験場で研修を受け、2010年に就農し、今年で7年目になります。

我が家は代々この地で農業をやっておりますので、「農家を継ぐこと」は、私にとっても当たり前のことでした。農家としては私で15代目、野菜農家から花農家に転身してからでも3代の歴史があります。しかし、20代で就農するとは全く考えていませんでした。

花栽培用のビニールハウス以外の農地(一部)

「お客様が長く楽しめる花」をつくること

–– 花農家としての「こだわり」を教えてください。

海老澤さん 花を買ってくださったお客様に長く楽しんでいただけるものを作るよう、努力しています。
1シーズンで終わってしまう「1年草」と言われる花でも、苗がしっかりしていて、その後も丁寧に育てていただければ、毎年咲かせることができます。

花は、苗の時期にストレスがかかっているかどうかで、成長したときに差が出てきます。苗の生育環境が悪いと、暑さに弱かったり病気にかかりやすくなったりします。お花屋さんなどできれいに咲いていても、買って持ち帰ったあとにすぐに枯れてしまったらダメだと思うんです。お客さんが買って帰った後の環境も考えて、過保護にしすぎず育てています。

すぐに枯れてしまわないような工夫として、「鉢上げ」という作業があります。花がぐらつくと苗が痛んでしまうので、ポットに植え替えるんです。通常、「鉢上げ」を1回で済ませてしまう栽培方法が多いのですが、うちでは成長に合わせて2段階で「鉢上げ」を行っています。
少し手間はかかりますが、しっかりとした株を作るためには欠かせない作業だと思っています。その効果として、がっしりした花が生産できています。お客様から「長く楽しめたよ」と言ってもらえることがうれしいからこそ、そういう努力をしています。

顔の見えるお客様に使っていただきたい

海老澤さん 会社員をしていたときも販売業でしたし、お客様に接すること自体が好きでしたので、うちでも直販に力を入れようと思っていました。そこで、畑に面する直売所「海老澤農園 美豊園」だけで様々な花が揃うことを目指しています。
同じものをたくさん作って市場に卸していくよりは、顔の見えるお客様に直に販売していきたかったんです。

そういった顔の見えるお客様に、私が生産した花を毎年選んでいただけるよう、種類を増やしたり新種の花を取り入れたりすることを心がけています。
「海老澤農園 美豊園」では、商品のことをお客様にわかりやすく伝えていくために、食品スーパーで培った陳列やPOPのノウハウを活かしています。

顔の見える関係を大事にするため、情報をPOPでわかりやすく説明

 
海老澤さん 最近、助成金を活用させていただき、井戸を掘って、花への水やりに井戸水を使うようにしました。普段の水やり以外に、災害時の飲料水としても活用できます。
災害時にはうちの畑が地域の避難所になればいいと思っています。

新設の井戸。花の水やりだけでなく、災害時には地域への開放も想定

 
–– 直売所も含め、生産した花の販売先について教えてください。

海老澤さん 販売先は、庭先直売所と三鷹緑化センターへの販売で全体の9割くらいを占めています。これからは顔の見えるお客様がいる直売所の売り上げを伸ばしていきたいと思っています。販売量は、近年、単価の高いものを作るようにしていますので販売量自体は少なくなっています。ただ、売り上げは上がってきています。
庭先直売所と三鷹緑化センターへの販売で全体の9割くらいを占めています。
これからは、顔の見えるお客様がいる直売所での売り上げを伸ばしていきたいと思っています。近年は、単価の高いものを作るようにしていますので、販売量自体は少なくなっていますが、売上は増加してきています。

お客様とのコミュニケーションを活かした品種選び

–– どんな情報を参考にして、生産する花を選んでいるのですか。

海老澤さん 取引している種苗会社さんから情報収集し、実際に取り入れる場合もあります。あとは、お客様と直売所でコミュニケーションをする中であがった「こんなお花が欲しい」といったリクエストに応えることもあります。
そのほか、庭先直売所以外に出荷する際は、他の花農家さんが取り扱っていない種類や色を調べて出荷しています。人気の花でも定番の色ばかり作ると売れ残ってしまうこともありますから。
例えば、ビオラの色は、需要がある定番のもののほか、新色を生産する際はお客様の声を取り入れています。

–– 土作りにはどのように取り組まれていますか?

海老澤さん 赤土を業者さんから購入し、腐葉土を混ぜ、土壌を熱消毒して作っています。
季節によっては頻繁に土作りを行い、繁忙期は父と2人で協力しています。

土を洗浄する機械
熱消毒した土はここに運ばれる
作った土を1つずつポットに入れていく機械

花も地産地消が一番。

–– 消費者が長持ちする花を選ぶにはどうしたらよいのでしょうか

海老澤さん 三鷹近辺であれば、三鷹の環境で育った花が長持ちします。これは間違いありません。
なぜなら、気候が同じだからです。環境が変わってしまうと長持ちもしません。だから、「花も地産地消」が良いのです。
でも、こういう話はなかなか一般には知られていないんですよね。常連のお客様からも、「海老澤さんの花は長持ちする」と言ってもらえることが多いです。

–– 花農家としての「課題」を教えてください

海老澤さん 三鷹の花農家の課題は、後継者が少ないことです。10年後、20年後は花専門の農家はほとんどいなくなると思います。
また、身近に花農家がいないので、相談できる人が少ないというのも難点です。今後は、もっと三鷹の中や他の地域に広げていく必要もあるかと思っています。

これからの花農家について話す海老澤さん

三鷹で花が必要なときは、うちのものを使ってもらえるようになりたい

–– 三鷹の花農家として、これからのお考えを教えてください。

海老澤さん 「花も地産地消」ということで、三鷹で使われる花は全てうちでまかなうくらいのつもりでやっていきたいです。
先ほども申し上げましたが、これからは花の生産者も少なくなっていくと思います。これは、逆の考え方として、競合が減るチャンスと捉えることもできます。
そうした状況ですから、「三鷹で花が必要であれば、うちのものが使われる」くらいの花農家でありたいです。

直売所に並ぶ「ゆず」

 

子どもたちやファミリー層に花を普及させたい

海老澤さん 野菜に関しては、教育の現場でも「食育」や「地産地消」などが重視されるようになってきましたが、花の地位はまだまだ低いという印象を持っています。
花の地位を確立していくには、子どもの頃からきれいな花に触れる機会を作ること、花についても地産地消が大切であるということを広めていかなければいけないと思っています。
ちょうど私の子どもが幼稚園児なので、なにか仕掛けたいと考えています。まだ検討中ですが、幼稚園や小学校などに花を提供したり、子ども達が花と触れ合う機会を作ったりできないかと考えているところです。周りの環境を活用して、少しずつ子どもがいる家庭に花を広めたいです。

それから、三鷹市内にはいちごを生産している農家さんがいないので、チャレンジしています。うまく販売できるところまでもっていけたらと思います。いちごの摘み取り体験などができれば、お客様にもより楽しんでもらえると思います。

–– 海老澤さん、ありがとうございました。

海老澤一晃さんが生産する花リスト
【春】ベゴニア、ペチュニア、ナデシコ、キンギョソウ【夏】ビンカ、ペンタス、サルビア、ヒマワリ、コリウス【秋】コスモス、パンジー、ビオラ【冬】ハボタン、プリムラ、ストック、ラナンキュラス
これらを中心に、年間40~50品目を生産、販売中。

海老澤一晃さんが生産した花が購入できる場所

名称 直売所「海老澤農園 美豊園」
住所 〒181-0015 東京都三鷹市大沢5-5-10
定休日 不定休
名称 三鷹緑化センター
住所 〒181-0004 東京都三鷹市新川6-30-22
電話番号 0422-48-7482
営業時間 9:00~17:00
定休日 なし
休業日は3月・9月の最終平日、年末年始(12月31日~1月6日)、夏季休業のみ
アクセス JR三鷹駅南口より小田急バス「野ヶ谷行き」「仙川行き」「晃華学園東行き」すべて三鷹農協前下車徒歩5分

取材:横堀陽子 / 苔口昭一
文 :苔口昭一(校正:横堀陽子、米川充)
撮影:横堀陽子 / 苔口昭一

この記事は「まちなか農家」からの転載です。

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(最終更新:2017年11月22日)

この記事を書いたライター

まちなか農家
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