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大好きなスポーツ業界から家業の野菜農家を継いだ「元気もりもり」森屋賢さん(後篇)

三鷹市北野で野菜販売農家をされている森屋賢さんに農家になった経緯や現状、これからについてお話を伺いました。前篇後篇に分かれてお届けします。

森屋賢さん
日本体育大学卒業。28歳のときに三鷹市北野の野菜の販売農家を継ぎ、森屋賢さんで四代目。両親と畑を守っている。「元気もりもり 森屋です」という自己紹介が子どもを中心に評判。現在は家の畑を管理しつつ、次世代農家の団体「JA東京むさし三鷹地区青壮年部では農政部会長を務め、農地を繋げていく活動をしている。

直売所の販売が9割を占める

–– 育てた野菜の販路を教えてください。
森屋さん ちの場合は、直売所が2か所あり、畑の前と調布市緑が丘の自動販売機で野菜が購入できます。
JA東京むさし三鷹緑化センターに卸しているものと、直売所と合わせると、大体9割くらいが販売できています。

そのほかは、学校給食や市場に出しています。学校給食用としては、母校でもある三鷹市立第六中学校や東京都立三鷹中等教育学校に出荷していますよ。

市場は、ナスとキュウリだけです。
4、5軒くらいの複数農家で共同出荷しています。三鷹に限らず東京の農家は1軒あたりの規模が小さいので、共同して市場に出荷することで出荷量がキープできるのです。市場へ出す際の運搬は農家が交代交代でやっています。1回の出荷量はナスだけで1500本くらいですね。ただ、農地や農家さんの減少にともない、市場への出荷量も年々減少しています。

–– 直売所で購入されるお客さんはどのような方が多いのでしょうか?また、お客さんとコミュニケーションはありますか?

森屋さん シニア層の方が多いですね。このあたりは犬の散歩道でもあります。
お客さんとのコミュニケーションには自動販売機に野菜を入れているときに、「この野菜はそろそろ時期が終わりますよ」とか「これくらいの時期にこの野菜が出来ますよ」と伝えたり、お客さんから「この間買った野菜は美味しかったよ」とおっしゃってもらえたりという会話が多いです。

森屋賢さんの畑で作っている「内藤とうがらし」

三鷹の野菜を食べて育ったと言ってくれる五輪選手が出てくることが楽しみ

–– 農家をやっていて、楽しいこととやりがいを1つずつ教えてください。

森屋さん 一番嬉しいのは、野菜を買ってくださったお客さんから「美味しかったよ」と言ってもらえることです。
そして、「食を通して、笑顔にできる仕事」だと思うし、やりがいにもなります。

私(もしくは三鷹)の野菜を買って食べている方や学校給食で三鷹の野菜を食べて育った方が五輪で活躍※1して「三鷹の野菜を食べて育ちました!」と言ってくれることが、これからの楽しみです。
※1 リオ五輪で体操金メダルの内村航平選手が、ブラックサンダーを演技前に食べているのは有名

課題について話す元気モリモリ森屋さん

 
–– 逆に、野菜農家としての課題はありますか?

森屋さん 大きいところは農地を残していくこと。
周りの農家さんが辞めていくのを見ると大きい課題だと感じています。
私のところも子どもが継ぐのかもわからない。
でも、私たちが楽しくやっていれば、次に繋がるのではないかとは思っています。

28歳で手伝いはじめたときは、祖父や祖母も一緒に仕事していました。まだまだ元気なので、森屋家に相続の経験はないんです。
もし…と考えると相続税は度肝を抜かれる金額になるのではないかと想像しています。
これは節税などでどうにかなる問題ではないので、法律を改正するしかないと思っています。

三鷹の農地は、個人の農地から地域の農地へ

森屋さん 法律を改正してもらうためには、消費者や地域の方に「三鷹の農業は重要なものである」と思ってもらうことが大事だと考えています。そういった声が増えれば少しずつ変わっていくのではないかと。

地方の農家の畑は自分の農地という考え方だが、東京都内の農地はみんなの(地域の)農地であるという意識に変わらなければならないと思っています。農地は遊び場であったり、勉強する場であったり、何かあった際の避難場所であったりするのです。農地はないといけないものだと考えてもらいたい。そういった啓蒙活動は、JA東京むさし三鷹地区青壮年部※2を通じておこなっています。
※2 JA東京むさし三鷹地区青壮年部は農家の後継者が集まり、都市農業保全、農業振興を目指し、営農活動、教養活動、食育活動などを通じて社会貢献する団体。詳しい活動は公式サイトをご参照ください

都市農業の農地のあり方を話す森屋さん

 
森屋さん TOKYOたまものスイーツの海老原雄一郎さんのように、私たちの作ったものを使って、スイーツなどを作って販売する方がどんどん出てくれると嬉しいなです。海老原さんのような方や応援してくれる地域の方が現れるようになったのは、ここ数年のことなんです。本当に、ありがたいです。

この良い流れを後輩にも繋いでいかないといけないと思っています。

いまのお客さんを大切にしつつ、新しい取り組みをしていきたい

–– 野菜の販売農家として、これから考えていることを教えてください。

森屋さん 広い視野を持たないといけないとは思いますが、野菜を買いにきてくださる近隣のお客さんを一番大切にしたいです。

また、駅前の三鷹中央通り商店街と連携し、三鷹駅周辺のレストランへ野菜を出荷して料理に使ってもらうという取り組みを、試験的に始める予定です。ぜひ、楽しみにしていてください。

–– 森屋さん、ありがとうございました。

森屋賢さんの野菜を購入できる場所(三鷹市内)

住所 〒181-0003 東京都三鷹市北野1-5-43 ※自動販売機のみの販売です。

取材:宇山淳子 / 横堀陽子 / 苔口昭一
文 :苔口昭一
撮影:横堀陽子

この記事は「まちなか農家」からの転載です。

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